TeXは、特に理系では論文などを作成する際によく用いられているのでご存じの方も多いと思います。TeXの魅力的な点はなんと言っても美しい数式を書けるというところでしょう。しかし、コマンドの数が多かったり、ビルドしてみるまで文書の全体像が分かりにくいなどと言った理由もあり、慣れるまでは大変な面もあります。ですが、やはり数式を美しく書けるという魅力からは逃れられず、私もよくTeXを使って文書を作成しています。今回は、そんなTeXをUbuntuで使うためにTeXlive2015のインストールを行っていこうと思います。
では内容に入ります。
手順
全体の流れを以下に示します。- インストーラの準備を行う。
- インストーラを実行し、TeXliveをインストールする。
- シンボリックリンクを作成する。
一応、インストーラを用いずに"apt-get"によりインストールを行うことも可能ですが、何故か失敗することがあるので、インストーラを使ったほうがいいと思います。では、作業を行っていきます。
1. インストーラの準備を行う。
まず、インストーラをダウンロードします。ダウンロードが完了したら解凍します。解凍後、展開されたフォルダに移動します。ここでは"cd install-tl*"となっていますが、"*"以降は20150807のように日付が入ります。install-tl-unx.tar.gzの更新日によってこの部分は変化するため、"*"を用いています。Terminalを起動して以下のコマンドを実行してください。
cd ~ wget http://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/systems/texlive/tlnet/install-tl-unx.tar.gz tar xvf install-tl-unx.tar.gz cd install-tl*/
2. インストーラを実行し、TeXliveをインストールする。
インストーラの準備が完了したら、早速インストールを行っていきます。Terminal上で以下のコマンドを実行してください。sudo ./install-tlコマンドを実行すると、
Actions: <I> start installation to hard disk <H> help <Q> quit Enter command:と表示されるので、"I"を入力してインストールを開始します。かなりの時間を要しますが、これでインストールは終了です。
3. シンボリックリンクを作成する。
インストールが完了したら、"/usr/local/bin"以下にシンボリックリンクを作成します。これを行うことで、実行の際にPathを追加しないで済みます。Terminalで以下のコマンドを実行してください。これにてTeXliveのインストールは完了です。
# お使いのPCが64bitの場合は以下のコマンドを実行してください。 sudo /usr/local/texlive/2015/bin/x86_64-linux/tlmgr path add # お使いのPCが32bitの場合は以下のコマンドを実行してください。 sudo /usr/local/texlive/2015/bin/i386-linux/tlmgr path add
動作確認を行う。
以上でインストールは完了したので、実際にTeXで簡単な文書を作成してみましょう。適当なディレクトリ内にtexファイルを作成します。ここでは、例として、ディレクトリの場所を"/home/(ユーザー名)/tex_sample"として考えます。texファイルは"sample.tex"とします。Terminalを起動して以下のコマンドを実行してください。
cd ~ mkdir tex_sample cd tex_sample/ gedit sample.texsample.texを開いたら、以下の文章を記述してください。コピー&ペーストでも大丈夫です。
\documentclass{jsarticle} \usepackage{amsmath} \begin{document} \section{フーリエ変換} 関数$f(x)$のフーリエ変換$\mathcal{F}[f(x)]$は以下の式で表される. \begin{align*} \mathcal{F} [f(x)]=\int_{-\infty}^{\infty} f(x) e^{-i2\pi\nu x}dx \end{align*} \section{ラプラス変換} 関数$f(t)$のラプラス変換$\mathcal{L}[f(t)]$は以下の式で表される. \begin{align*} \mathcal{L} [f(t)]=\int_{0}^{\infty} f(t) e^{-st}dt \end{align*} \end{document}
記述が完了したら保存してファイルを閉じてください。その後、Terminalに戻り以下のコマンドを実行してください。これによりpdfの文書が出来ます。platexコマンドによりtexファイルからdviファイルを生成し、devpdfmxコマンドによりdviファイルからpdfファイルを生成しています。
platex sample.tex dvipdfmx sample.dvi実行後に生成されたpdfを開き、以下のようになっていれば成功です。
はじめまして。
返信削除「インストーラの準備が完了したら、早速インストーラを行っていきます。Terminal上で以下のコマンドを実行してください」
の所で、コマンドを何度実行しても「コマンドが見つかりません」となってしまいます。
入力ミスを疑い何度も確認をしましたが原因が分かりません。
何か教えて頂ければと思いコメントを投稿しました。
どうかよろしくお願いします。
Unknown様
削除はじめまして、コメントありがとうございます。
ご質問の件ですが、"1. インストーラの準備を行う。"において最後に"cd install-tl*/"を実行した際にちゃんとカレントディレクトリがinstall-tl*(例えばinstall-tl-20150807)のようになっているでしょうか?
なっている場合、そのフォルダを実際に開いて、フォルダ中に"install-tl"というファイルがあるか確認してみてください。このファイルがあればコマンドを実行できると思います。念のための確認ですが、コマンド内の"./install-tl"の部分を". /install-tl"や"./ install-tl"のようにどこか空けていたりしていないかも確認おねがいします。
はじめまして
削除作成しておられるページを参考にインストールを試みております。
が、
sudo ./install-tl --repository http://ring.airnet.ne.jp/pub/text/CTAN/systems/texlive/tlnet/
のコマンドを入力すると、
Loading http://ring.airnet.ne.jp/pub/text/CTAN/systems/texlive/tlnet/tlpkg/texlive.tlpdb
./install-tl: cannot download: download did not succeed: http://ring.airnet.ne.jp/pub/text/CTAN/systems/texlive/tlnet/tlpkg/texlive.tlpdb.sha512
と出てきてしまいます。
何か足りないものがあるように思うのですが、それを知るすべもありません。
何か教えていただけると助かります。
匿名様
削除返信が遅くなってしまい申し訳ありません。質問の件ですが、こちらでも確かめたところ同じ現象が起きました。対処方法としては、
sudo ./install-tl --repository http://ring.airnet.ne.jp/pub/text/CTAN/systems/texlive/tlnet/
のコマンドを実行するのではなく
sudo ./install-tl
のコマンドを実行してください。これはダウンロード先を"http://ring.airnet.ne.jp/pub/text/CTAN/systems/texlive/tlnet/"からデフォルトに変更しています。
ご確認よろしくお願いします。